記事一覧
日記(1)
MLB(39)
お知らせ(0)
今後はこちらのブログに変更になります

2013年08月10日

100マイル投手インディアンス、ダニー・サラザール対三冠王ミゲール・カブレラ

2013年度、大リーグで平均球速が95マイルを超える投手は、30イニング以上を投げた投手では、31人いますが、そのほとんどは救援投手です。先発投手では今年のオールスターゲームでナリーグの先発投手となったメッツのマット・ハービーMatt Harvey(95.4マイル)とナショナルズのステファン・ストラスバーグStephen Strasburg(95.3)の2人だけです。
 大リーグ最速はレッズのアロルディス・チャップマンの98.1マイルです。

 マット・ハービーは現在、9勝3敗、防御率が2.09で、三振奪取率は10.03、四球率は1.63とナショナルリーグのサイ・ヤング賞候補と言える若手投手(24歳)です。

 このマット・ハービーよりも速い球を投げる新人の先発投手が出現しました。クリーブランド・インディアンスのダニー・サラザールDanny Salazar(23歳)です。

ダニー・サラザールDanny Salazar
13211951-standard.jpg
サラザール対ミゲール・カブレラ、100マイルで空振り三振
danny salazar20130807.gif
danny salazar20130807s1.gif

 8月7日、タイガース戦に今シーズン2度目の先発をしました。初先発は7月11日のブルージェイズ戦で6回を2安打、1失点に抑え初勝利を挙げました。

 8月7日、タイガース戦では昨年の三冠王ミゲール・カブレラMiguel Cabreraを3打席連続三振に打ち取り、3対2とリードして迎えた8回、カブレラへの初球96マイルの速球をスタンドまで運ばれ、逆転の2ランホーマーを打たれ、降板しました。インディアンスは8回裏、同点に追いつき負け投手にはなりませんでしたが、インディアンスは延長戦の末、敗れました。延長14回表にタイガースが2点を取り、その裏インディアンスが1点を返しましたが及びませんでした。6対5でタイガースが勝ち、11連勝を記録しました。
 
 サラザール対カブレラ(背番号24)の4打席の内容

1打席目:見逃し三振
初球  99マイル、フォーシーム(ボール)
2球目 98マイル、フォーシーム(見逃しストライク)
3球目 99マイル、フォーシーム(見逃しストライク)
4球目 99マイル、フォーシーム(ボール)
5球目 99マイル、フォーシーム(ボール)
6球目 88マイル、チェンジアップ(見逃し三振)

2打席目:空振り三振
初球  100マイル、フォーシーム(ファウル)
2球目 99マイル、フォーシーム(ファウル)
3球目 99マイル、フォーシーム(空振り三振)

3打席目:空振り三振
初球  98マイル、フォーシーム(ファウル)
2球目 88マイル、スライダー(空振り)
3球目 88マイル、スライダー(ボール)
4球目 100マイル、フォーシーム(空振り三振)

4打席目:本塁打(2ラン)
初球  96マイル、フォーシーム(本塁打)

 サラザールの速球は第3打席まではすべて98マイル以上でしたが、第4打席は2アウトから走者を1人出してセットポジションからの投球で、初球96マイルが内角のベルトの高さに入ってしまい、三冠王のカブレラにセンターのスタンドまで運ばれてしまいました。

 サラザールはドミニカ出身の23歳で、Height/Weight: 6-0/190 、身長183センチ、体重86キロで体は大リーグでは大きいほうではありません。同じドミニカ出身の最強右腕ペドロ・マルチネスよりも1インチ(2.5センチ)背が高い程度です。
 サラザールはインディアンスの先発ローテーションの1人が怪我で故障者リスト入りしたために、緊急登板になりましたが、しばらくはローテンションの5人目として登板の見込みで、大リーグ注目の投手です。
 サラザールの凄いところは、球が速いだけではありません。コントロールも良いのです。球が速いのに四球は1試合に1個しか出していません。
 また、投球フォームが非常に優れていると思います。100マイルの球を投げるのに力んで投げていません。体全体で投げているために腕の振りが特に目立ちません。腕を振るというよりも肩を速くスウィングしているので腕は体と一体となって回転しているためです。肘、肩に負担をかけずに速い球を投げるための手本になる投球フォームです。ストライドを極端に大きく取っていないのも速い球をコントロール良く投げれる秘訣だと思います。サラザールの投球フォームは理想的な投球フォームの1つと言えるかもしれません。今後の活躍に注目したい投手です。

 サラザールのこの日の投球内容:
7回2/3イニングで7安打、4失点、4自責点、1四球、10三振、2本塁打
球種の配分は7割がフォーシーム、2割がチェンジアップ、1割がスライダー
フォーシームの平均球速はマット・ハービーの95.4を上回る97.8マイルでした。

Salazar's 10 strikeouts
サラザールの10三振(動画)

Miggy's go-ahead homer
ミギー(カブレラ)の勝ち越しホーマー(動画)
8回にカブレラがサラザールから逆転の2ランホーマーをセンターに打ちます

 
posted by BEST PITCHING at 16:23 | Comment(2) | TrackBack(0) | MLB | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年07月15日

岩隈投手8勝目、エンゼルス戦5勝0敗

岩隈投手8勝目

4:10 PM ET, July 14, 2013
Safeco Field, Seattle, Washington

Angels 3     Mariners 4
123456789RHE
LAA000012000380
SEA02011000-470



W: H. Iwakuma (8-4)
L: J. Blanton (2-12)
S: T. Wilhelmsen (19)

 ここ最近勝ちに見放されていた岩隈投手が過去負けなしの4連勝と相性の良いロサンゼルス・エンゼルス相手に7回を3失点に抑え、8勝目を挙げました。オールスターゲーム前の最後の試合に登板したので、オールスターゲームに出場の決まっている岩隈投手は観戦するだけで登板はないようです。

 岩隈投手の投球内容は7回を、
7安打、3失点、3自責点、1四球、7三振、1本塁打。投球数は96/ストライク68。防御率3.02。


Iwakuma holds off Halos to complete sweep
岩隈はエンゼルスに競り勝ち、シリーズ3連勝を達成

Right-hander to play spectator at ASG following seven-inning outing
右腕は7回を投げたのでオールスターゲームでは観戦の予定です
By Jacob Thorpe / MLB.com | 7/14/2013 8:35 PM ET

SEATTLE -- Hisashi Iwakuma got back on track with a good start against the Angels, going seven innings as the Mariners beat Los Angeles, 4-3, to earn their first sweep of the season in front of 25,629 at Safeco Field.
シアトル -- 岩隈久志はエンゼルス戦で7回を投げ好投し復調しました。そしてマリナーズはセイフコ・フィールドの25,629 人の観客の前でシーズン最初のシリーズ全勝を達成し、4対3でエンゼルスを破りました。

Iwakuma had his best start since mid-June as he improved to 5-0 against Los Angeles. Entering Sunday's game, the Japanese righty had given up at least four earned runs in his previous five outings.
岩隈は6月中旬以来最高の投球を見せ、ロサンゼルス(エンゼルス)との対戦成績は5勝0敗とまた良くなりました。日曜の試合前までに日本の右腕は直近の5度の登板で4点以上の自責点を許していました。

Even with his recent struggles, Iwakuma has been a revelation for Seattle, going 8-4 with a 0.94 WHIP and a 3.02 ERA in the first half of the season.
最近の苦戦があったにせよ、岩隈はシーズンの前半で8勝4敗、WHIP0.94、防御率3.02を残しており、シアトルにとっては驚きの的です。

"I tell you this, I voted for him for the All-Star Game," Angels second baseman Howie Kendrick said. "That says a lot about the guy. He competes every time out there and competes against us every time. He has pitched well against the league, too. Congratulations to him for the All-Star Game."
「言っておきたいことがあるんです。僕はオールスターゲームに彼を投票したんです」エンゼルスの2塁手のホウィー・ケンドリックは言いました。「その数字がこの選手の凄さを物語っています。彼はいつも競うように登板してきます。われわれと対戦するときにはいつもそうなんです。彼はリーグのその他のチームと対戦するときにも良い投球をしてきました。彼がオールスターゲームに選ばれたことを祝福したいと思います」

Because of the length of his start on Sunday, the first-time All-Star will not actually pitch in the 2013 MLB All-Star Game on Tuesday. Greg Holland of the Royals will take his place. Still, the second-year player is looking forward to the experience.
日曜日に先発して長いイニング投げたので、彼にとっては最初のオールスターゲームになりますが、彼は実際のところ火曜日のオールスターゲームでの登板はないでしょう。それでも、この2年目の選手はオールスターゲームの経験を楽しみにしています。


Iwakuma's solid outing
岩隈の安定した登板(動画)

posted by BEST PITCHING at 19:25 | Comment(0) | TrackBack(0) | MLB | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

上原投手の投球分析

上原投手は2013年7月12日のアスレチクス戦で9回に3者三振を奪い、今シーズン8セーブ目を挙げました。
 上原投手の今シーズンの投球フォームで昨年までと変わった点は、前足を着地してから膝が伸びたときに前脚の軸が垂直よりも一塁側にいつも傾いていることです。昨年までもそいうい傾向はあったのですが、今年はすべての投球でそうなっており、また軸の傾きも昨年よりも大きくなっています。

 上原投手の投球フォームは、巨人時代から大リーグに移籍して変化しましたが、大リーグに移籍してからも徐々に変化しています。これについては一度触れたことがありますが、今回は重力を利用した投球フォームという視点で分析したいと思います。
 
 今回取り上げた投球フォームは、アスレチクス戦で8セーブ目を挙げたときのものです。2番目の打者7番ジョシュ・レディックJosh Reddickを90マイルの外角低めのフォーシームで見逃し三振に打ち取ったときの投球フォームです。

 上原投手の投球フォームの特徴

@ワインドアップで、最初、体の向きは3塁側よりも少し前を向いてる。
koji uehara wind up.jpg

 右足の爪先の向きが投球プレートに平行と言うよりも少しホームプレート方向を向いている。クイックでボールを投げるのに適しています。

Aテイクバックが小さく、肘は両肩を結ぶ線よりもかなり低めで、肘を背中側に引かない。
koji uehara back foot drive..jpg
 そのため腕が体に隠れて突然ボールがリリースされるので、思ったよりも早くボールが来て、打者は打つタイミングが遅れ振り遅れてしまう。球速は89から90マイル、時速143から145キロ程度しかありませんが、相手の打者はファウルか空振りをしてボールを捕らえるのは非常に困難です。
 特に今シーズンは左打者に対してはほとんど打たれていません。

今シーズン前半7月14日現在(オールスターゲーム前)の成績は、
2勝0敗、防御率1.70、被打率.160、WHIP0.76です。

右打者、左打者ごとの成績は
左打者:防御率1.11、被打率.110、WHIP0.62
右打者:防御率2.50、被打率.221、WHIP0.94

 また、右肩にも無理な力がかかっていません。

B前脚を高く上げ、下ろすことで位置エネルギーを回転エネルギー(骨盤の回転と上体の前への回転)に変えている。
koji uehara wind up front leg up.jpg
 前脚の膝を胸に着くぐらい高く上げ、曲げた左膝を伸ばしながら、重力を利用してホームプレート方向に振り下ろすことで、骨盤がゆっくりと横に回転してゆき肩の横回転が発生し、上体は2塁方向に少し倒れた状態から垂直に起き、肩の縦回転が発生します。肩の縦回転により腕をスムースに上に引き上げることが可能となり、肩に無理な力がかかりにくくなります。

  そのため、流れるようなスムースな投球フォームになっています。

 一方、骨盤を回転させないように前側の股関節でリード(タメを作る)する方法は、重力をうまく利用できず、上体が後傾した状態で腕を担ぎ上げるようになるので、肩にも肘にも負担がかかる投げ方だと言えます。

 大リーグで300勝以上挙げた大投手はみんな上手に重力を利用して、効率よく投球を行うことで、怪我なく長く活躍できたのでしょう。昔のハイキック投法は重力を有効に利用した投法であり、肘、肩に怪我をしにくいと言えます。ただ、クイックな投球ができないだけであり、現在でも投球の基本となる投げ方であり、良い所を十分に活用することが非常に大事だと思います。

 重力を利用しつつ、軸足側の股関節から下の関節を有効に利用して軸足の蹴り出しを強くすることが現在、大リーグで活躍している投手の特徴だと言えます。

 投球とは結局、肩の縦回転、横回転の速さをいかに効率よく高めるかにあります。回転運動を考える場合には慣性(慣性は惰性の元であり、質量の元です)、トルク(回転力、力のモーメント)、慣性モーメント(回転のしにくさを表す)の概念が大事になってきます。
 怪我をしないで効率よく投げるには、重力に逆らわないで、重力をトルクとして利用する。
 急加速、急ブレーキは避ける。
 慣性モーメントをできるだけ小さくするよう、体の重心の位置に気をつける。つまり、前脚の軸が地面に垂直から、一塁方向に傾く(腕を横に広げ高速で回転して発生する遠心力に対抗するため)。上原投手のように骨盤の回転が速い投手ほど軸の傾きは大きくなります。肩の縦回転が優位な投手は軸の傾きはなくなり、ほぼ地面に垂直となります。

C軸足側の膝の向きが素早くホームプレート方向側に向くので、軸足を強く蹴れる。
koji uehara right knee direction.jpg
 そのため骨盤の回転が速い。

D前足を着地した後、曲がった左膝をおもいきり伸ばしている。
front leg stretch.jpg
 左の股関節が前に移動するのを完全に止め、骨盤の回転を加速している。また、上体が前に倒れる回転も加速させている。つまり、右肩の横回転、縦回転とも加速させているので、右肩の回転方向は時計でいうと2時から8時方向になっている。腕の角度も遠心力で自然とそうなっている。右肩が移動する軌跡を含む平面内(下りの斜面)を右腕は移動し、上体が前傾することで重力の作用で落下するように斜面を回転しながら落下してゆく。

2013年7月12日のアスレチクス戦、打者はジョシュ・レディックJosh Reddick
koji uehara save8 rear view.gif
koji uehara save8 rear view s1.gif
koji uehara save8 rear view 4 frames520.jpg

横からの映像
koji uehara 2013save8.gif
koji uehara 2013save8 s1.gif
koji uehara 2013save8  6frames.jpg


重力の利用を中心に考えた投球段階の分類

@前脚を上げる
koji uehara save8 rear view wind up slow.gif
 前脚を高く上げることで脚に位置エネルギーが蓄えられます。

A前脚をホームプレート方向に振り下ろす
koji uehara save8 rear view front leg down slow.gif
 前脚をホームプレート方向に振り下ろすことで、脚に蓄えられた位置エネルギーを運動エネルギーに変えます。
 位置エネルギーには骨盤を回転させる横方向の回転エネルギーと上体をホームプレート方向に倒す縦方向の運動エネルギーがあります。

B軸足の蹴り出し
koji uehara save8 rear view back leg drive.gif
 右の股関節が曲がっていて、右の脛が前傾して、膝の皿がホームプレート方向に45度ぐらい回転していることが強い蹴り出しには必要。

Cフォロースルー
koji uehara save8 rear view follow through.gif
 フォロースルーは大きくしなければいけません。
 運動エネルギーを得た腕をスムースに減速することは怪我を防ぐ上で非常に大事です。急激に腕の動きを止めると肩に無理な力がかかってしまいます。
posted by BEST PITCHING at 13:49 | Comment(1) | TrackBack(0) | MLB | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする