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2014年03月02日

アロルディス・チャップマンの投球フォームを目指すためのコツ

 野球好きさん(名無しさん)へのお詫びと、アロルディス・チャップマンの投球フォームを目指すためのコツの記事削除に関する御連絡。
 野球好きさん(名無しさん)へのコメントに書いた内容を再掲載し、読者の皆さんへのご連絡とさせていただきます。
 記事削除は読者の皆さんへの4、5日の連絡期間を設け、行なう予定です。

コメントに書いた内容
 野球好きさんのご指摘の通リ、チャップマンが着地後の上体の屈曲に腹筋を使っているという私の書いた内容は間違いで、腹斜筋と言うのが正解でした。それにしたがって、私の記事を訂正したのですが野球好きさんの考えに基づく内容であることを読者に指摘してから行なわかったことを、野球好きさんに深くお詫びいたします。 また、読者の皆さんに私の理論であるかのような誤解を与えてしまったことを、重ねて深くお詫びいたします。

 野球好きさんの指摘された内容は以下の通リでした。(カッコ内)

(動画、写真が多くたいへん参考にさせていただいてます。

今回の分析で気になったのですが、着地後に腹筋を使って上体を屈曲させているというような書き方がありますが、腹筋とは腹直筋のことでしょうか?
どちらかというと、着地後の体の屈曲と回転は、腹筋よりも、腸腰筋がメインと、外腹斜筋かなと思いますがどうでしょうか?
なぜなら、腹筋であるとしたら、腹筋は肋骨下から、骨盤の下部のほうについてるので、それが強く働くと、むしろ骨盤が後傾に働いてしまうと思いますが、動画や写真を見るとむしろ骨盤全体が股関節を角として前傾方向に屈曲してます。
それも、直前で軸足の蹴りによって、体しなり、腸腰筋が大きく伸ばされた反射で、強く縮むことで起きている現象かと思われます。
そう考えると、腹筋よりも腸腰筋かなと思いましたがいかがでしょうか?)


 その後、チャップマンの投球動作についていろいろ分析し直すと、記事の内容全体が分析不足であり、新たに考え直した分析を以下に、記すとともに、この記事内容自体を全削除したいと思っていることをご連絡いたします。

 チャップマンの投球動作を分析し直した内容

 チャップマンは着地後の上体の屈曲に腹筋を使っていると、私はブログの中で書きましたが、見直してみますと確かにご指摘の通リ、屈曲の部位が股関節であり、より上部の臍近くにはなっていませんでした。したがって、ご指摘の通リ、腹筋(腹直筋)をチャップマンは使っていないというのが正解だと思います。
 ノーラン・ライアンの投球フォームを見てみると、体の屈曲は股関節よりも上の位置になっていました。ノーラン・ライアンは、前脚を高く上げ、それを振り子のように下ろしながら上体を水平ぐらいまで倒しています。その際、腹筋(腹直筋)を強く利用しているのかと最初は思ったのですが、腹筋の利用はそれ程でもなく、ブレーキ役の背筋の強さが重要なようです。

 チャップマンの前足を着地してからの屈曲は、ご指摘の通リ、腹筋によるものではなく、股関節を屈曲させる筋肉である腸腰筋であり、さらには大腿直筋も関係していると思います。
 しかし、チャップマンは体をホームプレート方向に移動させる速度が速いので、前足を着地した時、上体が前に進んで行こうとする(車が急ブレーキを踏んだときに、体が前に飛んでいこうとするように)慣性が強いので、あまり股関節の屈曲筋は働いていないかもしれません。ホームプレート方向への重心の移動速度が遅い投手では、股関節の屈曲筋は強く働かせないといけないと思います。
 
 着地後の体の回転(骨盤に対する上体の水平(横)回転)には、ご指摘の通リ腹斜筋が働いていると思いますが、チャップマンは早い段階から、骨盤ならびに、それよりも少し遅れて上体が、速く回転して(水平回転の慣性が大きい、つまり水平回転エネルギーが大きい)いるので、上体がホームプレート方向に倒れる慣性(縦回転の慣性が大きい、つまり縦回転エネルギーが大きい)と上体の水平方向の回転慣性、が大きいので、腹斜筋(収縮力)が働く力は小さく、意識して働かせなくて済んでいると思います。前足を着地したときに働く慣性力による上体の前傾に加えて、重力による上体の縦回転トルク、および水平回転トルク(上体の軸が3塁側に傾くことで重力により生じる)が加わるのも体幹部(腹直筋、腹斜筋、大胸筋、前鋸筋)に大きな筋力が働かずに済んでいる理由だと思います。
 ストライドが小さく、骨盤の回転速度も弱い投げ方だと、体幹部には大きな筋力が必要になります。その場合には当然、腹斜筋にも大きな収縮力が働きます。

 したがって、投球のコツとして取りあげるポイントとして、腹筋を取り上げたのは適切ではありませんでした。
 昔のハイキック投法のような背中を反らせるような投げ方、あるいはテニスのサーブ(ロジャー・フェデラーのように)、ジャンピングサーブ、走り幅跳び(反り跳び)では腹直筋に大きな力が働いていますが、チャップマンの投げ方の場合には腹斜筋、腹直筋はなおさら、意識すべき点ではないように思います。
 腹筋よりも大事なポイントを取りあげるべきでした。

 投球のコツとして意識するべき点を改めて挙げてみたいと思います。これはかならずしもチャップマンと同じではないかもしれません。チャップマン風の投球をするために意識するべきポイントを自分なりに考えたものです。後で訂正する必要があるかもしれませんが、現時点で最適だと考えているものです。

@ワインドアップする前に両足が地面に着いているとき(セットポジション、あるいは、チャップマンのようにセットポジションよりも前足を背中側に引く、あるいはクレイグ・キンブレルのようにセットポジションよりも前足を前側に出す)頭の位置を動かさないようにして、前脚を軸足側の胸の前近くまで高くあげ、頭と軸足を結ぶ線をホームプレート方向に意識して十分前傾させる。
Aその際、軸足の踵に重心がかかるようにする。

 このとき、どうしても、頭が2塁側に動いてしまいます。それを防ぐために、軸足側の膝を内側(ホームプレート側に絞る、つまり倒す)に絞る。
 こうすることによって、軸足側の外旋筋のテンション(緊張)が高まります。また、頭と軸足を結んだ線はホームプレート側に十分前傾しているので、重力により上体をホームプレート側に回転させるトルクが働きます。
 さらに、Aを実施すると、上体ならびに、骨盤を水平回転(横回転)させるトルクも働きます。骨盤の軸(直立姿勢の時の重力の方向に一致)が背中側に傾くと重力による水平回転トルクも働きます。骨盤には前脚が着いているので、前脚の重力による水平回転トルクが最初に働くため、自然に骨盤が最初に水平回転するように感じるはずです。
 上体が前屈みになって爪先側に荷重点の中心があると、骨盤を水平回転させるのに軸足側の股関節の外旋筋には大きな負荷がかかります。軸足側の股関節よりも上の部分はホームプレートよりも2塁側に回転したがっているからです。この傾向は上体が2塁側に傾いているとさらに大きくなります。(松坂投手のように)

 ワインドアップのとき、骨盤の軸は背中側に傾き、さらにホームプレート方向に傾いていることが大事です。

Bワインドアップのとき、前足が最高点に達する前に上体がホームプレート方向に回転(頭と軸足を結ぶ線が軸足を中心に縦回転)するように、頭と軸足を結ぶ線を意識して十分に前傾させる。前傾する角度は10から15度ぐらいですが、頭の中では30度ぐらいに感じるほど大きくします(実際はその半分ぐらいにしかなっていないと思います)。
 この前傾を大きくするには、セットポジションからの方が楽です。このとき、グラブ側の肩が投球側の肩よりも低くなっている必要があります。

 この後は、前足、軸足、いずれの股関節の筋肉にもを入れ強く蹴るのが大事だと最近まで考えていましたが、逆に力を抜いて、両脚、および体の重心の位置エネルギーを利用し、重力による回転トルクを利用した方が、エネルギー効率が良く、体に負荷をかけずに速い球を投げれると思います。
 特に、軸足側の内転筋の緊張を緩めることにより、外転筋優位になるので、重力、および小さな外転筋の緊張だけで、ストライドが素早く伸びてゆきます。

Cこの後は、上体を垂直に起こすことに意識を置き、前足を着地したら、投球側の股関節、膝関節、足関節、爪先の関節を一気に伸ばし、爪先から肩関節までを一直線に伸ばすことを意識します。
 この一直線の形により、投球側の肩がホームプレート方向に加速されます。


D前足を着地する時には、片足一本でバランスが取れるように体の重心の位置だけ注意します。体全体の前足側半分にブレーキをかけ、投球側の体半分だけブレーキがかからないようにするためです。

E前足を着地したら、軸足側の股関節以下の関節と同じタイミングで思いきり素早く、ホームプレート方向に伸ばしたグラブを脇に抱え込むように、肘、肩甲骨を背中側にに引きます。
 この動作により、ボクシングのストレイトパンチ、空手の正拳と同じしくみで、投球側の肩が前に出るのを助けます。

Fボールのリリースポイントは出来るだけ、グラブ側の着地した足の位置よりも前にくるように、軸足側の脚を一歩前に踏み出すようにします。これにより、投球側の腕の動きが緩やかに減速するので、肩、肘に無理な力がかかりにくくなります。急激に腕の動きが止まると、特に、肩関節の関節唇に大きな力がかかってしまいます。

アロルディス・チャップマンの投球フォームを目指すためのコツ

 チャップマン投手のストライドは大きく、両足が同時に地面に着いた瞬間がないのが特徴です。軸足側の脚力が強くないと難しい投げ方です。
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@ワインドアップをして前足を高く上げた状態で、両肩を結ぶ線が前傾している。

 上体が2塁側に傾くと、両股関節を結んだ線が2塁側に傾き(前側の股関節の方が高くなる)、前側の脚にかかる重力で骨盤が自然とホームプレート方向に回転して行きません。上体は2塁側に回転しようとします。
 そのため、両肩を結ぶ線は前傾している必要があります。そうすると、軸足側の股関節を内旋状態から外旋する動作が楽に行なえます。

 体の重心移動について

 軸足を蹴って体の重心ををホームプレート方向に水平に移動するという意識は捨て、軸足を支点にして、体全体が前方に倒れこんで回転してゆくという意識を持つことが大事です。
 軸足を強く蹴ると、骨盤が前に移動し、慣性により上体はその場に残ろうとするので、上体は2塁側に後傾しやすいので、グラブ側の肩を下げ、最初前足を下に勢いよく下ろすことで上体の2塁側への後傾は抑えられます。
 ワインドアップの状態から、緩やかに上体はホームプレート方向に倒れこみながら、骨盤も最初から回転してゆき、前足が着地する前からは腹筋を使って上体をホームプレート方向に倒すことが主体となります。

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A前足はホームプレート方向ではなく、地面に向けて下に下ろす様に(わずかにホームプレート方向に)する。同時に体全体を沈み込むようにします。
 
 こうして、軸足に大きな荷重をかけ、軸足側の脚全体の筋肉に大きな負荷をかけ、強い蹴り出しを行なっています。
 その際、前屈みになった上体を背筋を使って真っ直ぐに起こし、軸足側の股関節を伸ばすことで、軸足にかかる荷重をより大きくしています。

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B前側の足を下に下ろしたら、軸足側の股関節は内旋した状態から外旋する。

 この動作で前脚はホームプレート方向に伸びてゆきます。両脚の外転(単純に閉じた両脚を開脚する動き)により前脚をホームプレート方向に伸ばしてはいません。

C前足が着地する時は、前足一本でバランスが取れる重心の位置に来る必要があります。
 この良いバランスにより、前足側の股関節の内旋、屈曲を最大限利用することができます。また、前足を着地したとき、前足側の股関節と投球側の肩関節を結ぶ線は弓のようになっている必要があります。前足側の股関節を中心に、この弓が真っ直ぐ伸びるようにして、投球側の肩がホームプレート方向に加速されてゆきます。
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 チャップマン投手とバレーボールのジャンピングサーブとの腹筋の使い方の違い
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バレーのジャンピングサーブの背筋、腹筋の使い方

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チャップマン投手の腹筋の使い方

 バレーでは空中での動作になるので、重心を中心に体が折れ曲がるので、臍の位置で体が折れ曲がり、股関節の屈曲ではなく、腹筋(腹直筋、腹斜筋)の内、腹直筋を中心に使っています。一方、チャップマン投手の場合には、前足を地面に着いて、上体が前傾しているので、肩の縦回転は前足側の股関節の屈曲(腸腰筋、大腿直筋)が中心で、腹直筋はあまり必要ではないと思います。肩の横回転は前足側の股関節の内旋と腹斜筋(投球側の外腹斜筋と前足側の内腹斜筋)、投球側の肩のあたりの筋肉では、腕を前に振り出すための大胸筋、肩甲骨を前に押し出すための前鋸筋(ボクサー筋とも言われる)が働きます。

チャップマン投手の軸足と着地側の足の蹴り方の強さについて

 軸足側の脚の蹴る力は非常に強いですが、着地側の足を蹴る力は軸足に比べれば強くはありません。前足を強く蹴って無理に勢いを止めていません。体が前に進む速度が速いので自然とそうなるのでしょう。そのため、フォロースルーは大きくなっています。球速が100マイル近いので、怪我の防止には理にかなっていると思います。フォロースルーの大きさはボールの回転速度の速さにつながっていると思います。
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2013年09月29日

松坂投手の投球分析

 松坂大輔投手は大リーグに移籍して活躍できたのは最初の2年間だけで、2011年には肘を故障しトミー・ジョン手術を受けています。

 松坂投手の投球フォーム上の問題点はどこにあるのか?

 横からのスローモーションを見ればよくわかります。

2009年WBCの時の映像です。これを境に活躍できなくなりました。

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ワインドアップ時、上体が後に倒れたままで、前足を着地した時もまだ上体は後傾したままです。後傾したまま腕を振っているので、重力に逆らった投げ方になっており肘、肩に大きな負担がかかっています。ボールのリリースポイントも左肩に比べて十分前に来ていません。

 その原因は、前脚を下ろすときに左の股関節を前に押し出すようにして(タメを作るというのでしょうか?)上体を2塁方向に傾けすぎたままにしているからです。
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 そのため、軸足を強く蹴り出しても上体の傾きは元に戻らず、前足を着地したときもまだ後傾したままです。投球段階で加速時に入っても腕は重力に逆らって、空に向かって振り出されています。重力を利用して腕を振り下ろす時間がほとんどない投げ方になっています。
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松坂投手2013年、ニューヨーク・メッツでの初登板

@投球後半に上体が一塁側に向く大リーグの投手に多く見られるような投球フォーム
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A腰の捻りが主体の投球フォーム
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上体の傾きによって、フォームが大きく変わってしまいます。@は上体の前傾が、Aに比べてわずかに小さくなって、体の重心はより一塁側に来ています。
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 松坂投手は投球フォームが安定していません。これは昔の投球フォームでもそうです。全体的にAのフォームの方がが多く、まだ大リーグ流の投球フォームに完全に進化したとは言えません。腕の角度は昔に比べて低くなり、腰の捻りを使った打撃フォームのような投球フォームが一番多く見られます。ホームランバッターの打撃フォームには似ていません。ホームランバッターはみんな骨盤の回転が速くかつ大きいからです。左足の着地位置はホームプレート方向よりも一塁側にずれて(アウトステップ)います。これは腰の捻りを大きくするために行なっているのでしょう。

松坂投手の一番の問題点は?

問題点:ヒップファーストによるホームプレート方向への重心移動

 松坂投手は、左脚を一番高く上げた状態から、左の股関節を極端に前に突き出し、体の重心をホームプレート方向にずらしながら、重力を利用して重心をホームプレート方向に移動させています。その結果、左肩が上がり、右肩が下がり、上体の軸が2塁方向に後傾し、前屈みの姿勢になっています。この姿勢だと、骨盤はうまく回っていきません。上体が開かない(ホームプレート方向に向くこと)ようにして腰の捻りを大きくするためなのか、軸足を強く蹴るためなのか松坂投手の狙いははっきりしません。

 ヒップファーストによる重心移動の弊害

 体の重心を下げて左の股関節を前に出す動作では、重心を下げた分だけ位置エネルギーが失われます。右脚は完全なばねではないので、エネルギーは回収できません。右脚の下腿(脛)の前傾は大きくなり、右の股関節の内旋、屈曲も大きくなりますが、うまく利用できていません。
 上にのべたように骨盤が回転しない姿勢なので、遅れたタイミングで骨盤を回転させようと思ってもすでに右の股関節が伸びきってしまっているので、骨盤は勢い良く回っていきません。右の股関節を伸展することで骨盤の右側が押され、骨盤は素早く回っていくのですが、それができていません。
 上体が後傾したまま、腕が回転して行くので、腕は重力に逆らうことになり、肩、肘に負荷がかかります。もし上体が前傾していれば、腕、肘は重力によるトルクが発生し、腕、肘の遅れが発生しにくく、怪我をしにくくなると思います。
 また、骨盤が回転して行かないので、前足を着地してから腰の捻りで腕を回転させているので、腕は急加速で回転させることになり、これも肩、肘に大きなストレスがかかる原因となります。

骨盤を回転させる方法

 ワインドアップして軸足で体を支え、左脚を一番高く上げた状態から、右股関節の外旋、右股関節の伸展、右足関節の伸展、足の指の関節の伸展を順番に利用します。膝関節も伸ばしますが、重心の移動は水平方向なので膝関節は意識しないでもよいと思います。

 前脚(左脚)の使い方(右投手の場合)

 左脚はワインドアップして軸足で体を支え、左脚を一番高く上げた状態から、投球を開始するためのスターターの役割を果たします。
 左脚の使い方に触れませんでしたが、左脚を高く上げることで左脚に位置エネルギーを蓄えます。左脚を下ろすことで、右の股関節の外旋のきっかけとなります。左脚を使うことで右の股関節の外旋が楽に行なえるようになります。また、左脚を素早くホームプレート方向に下ろすことで、体の重心が素早く軸足からホームプレート方向にずれるので、重力によるトルク(体重×重心と軸足までの距離)により、体全体がホームプレート方向に回転しようとするので、体の重心も楽に素早くホームプレート方向に移動します。
 
 骨盤を回転させる上で必要な姿勢

 上体が前屈のままになっていると、骨盤はうまく回転しません。前屈した上体を垂直にし、軸足の踵を早めに浮かし爪先側の拇指球あたりに荷重点を持ってくると、重心と拇指球を結んだ軸が背中側(一塁側)に傾くので、左脚にかかる重力によるトルクにより、骨盤が回転してゆきます。バランスが良いこと、軸足を外旋させやすいこと両面から、軸足の荷重点は最初土踏まずにあるのが良いでしょう。
 さらに、前屈した上体を垂直にし背筋をまっすぐにする長所は、慣性モーメント(回転のしにくさを示す、回転軸からの距離の2乗に比例する)が小さくなり回転がしやすくなることです。  

 エネルギー効率の良い体の使い方

@前傾姿勢

A体を一本の軸のように、あまり関節を深く曲げない

@、Aを実践するための練習
⒈背筋をまっすぐ伸ばし垂直にし、膝も完全に伸ばしたまま、セットポジションで構える。
⒉前足を素早く浮かす。
 軸足(後ろ足)はホームプレート方向への力を地面から受け、体の重心はホームプレート方向に加速してゆきます。

 今度は膝を曲げた状態で行なうと、体の重心の加速は弱くなります。両足では片足に体重の半分がかかっていたのが、前の足を上げると、軸足に全体重がかかるようになり、軸足側の膝がさらに曲がり、地面から受ける力を吸収してしまい、力がうまく伝わらないためです。
 膝、股関節は必要以上に深く曲げず、軽く曲げるぐらいの方がエネルギー効率は良いと言えます。その方が楽に球速も上がります。
 
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2013年08月11日

藤浪 晋太郎投手の投球フォームについて

 藤浪投手の投球フォームで、前足の着地がクロスステップ(インステップ)していて良くないという記事があったというコメントをいただきました。股関節が3塁に向いているのに上半身はホームプレート方向に向いているので、体を無理に捻ることになり体に良くないという内容だそうです。

阪神タイガース藤浪 晋太郎投手の投球フォーム
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 果たしてインステップは良くないのか?

 この記事は日本のヤフーニュースにあったということですが、すでに閲覧不能になっており読むことができませんでした。
 日本と大リーグでは投球フォームが大きく違うので、個々の投球フォームについて良し悪しを判断しなければ意味がありません。

 日本では骨盤を前足が着地する直前まで回転させないで(ヒップファースト)、しかも骨盤の回転自体も緩やかで、下半身はあまり回転させずに、横を向いた上半身の捻りをホームプレート方向に戻すような投球フォームの人が多いようで、このような投球フォームの人がインステップで投げれば脇腹を痛めたりするかもしれません。前足の着地寸前まで骨盤から上に回転慣性を与えていないからです。質量のある物体を回転させるには時間がかかりますので、投げ始めから骨盤は回転させたほうが投球が円滑に行なえます。

 慣性には体の重心がホームプレートに向かう直線的な慣性と、体の軸を中心に体が回転する回転慣性があります。慣性とは同じ状態を維持しようとする性質で、質量のある物体は同じ速度(大きさと向き)を維持しようとします。回転している物体も同じ回転速度を維持しようとします。抵抗がなければ永遠に回転し続けようとします。止まっている物体を回転させるにはトルク(回転力、力のモーメント)が必要で、動き始めに大きなトルクが必要です。一定の速度を維持するだけであればトルクは必要ありません。つまり、回転し始めには大きなトルクが必要なので、投球の最初から骨盤を回転し始めた方が、前足を着地した後に骨盤は楽に加速でき、投球側の肩の水平方向の回転速度も速くなるということです。

 日本の投手は直線的な慣性が主体(骨盤を回転させないで体の重心を直線的に前に移動させる)で回転慣性が不足している人が多いようです。

 一方、大リーグの投手は骨盤を最初から回転させてゆく投げ方が多く、オーバーハンドの投手でもサイドハンドの投手でも同様です。
 ストラスバーグ投手は骨盤を回転させない投げ方をしています。松坂投手も同じです。こういう投げ方は肩、肘に負担がかかってしまいます。
 

 大リーグではインステップで投げる投手もいれば、アウトステップで投げる投手(グレッグ ホランドGreg Holland )も、さらにはその間のスクエアで投げる投手(マックス シャーザーMax Scherzer)もいて、どれが良くてどれが悪いとは言い切れません。個人の好みの問題です。
 ただ、全体的に見て、100マイル近い球速でコントロールの良い投手はインステップが多いように思えます。

 アウトステップの投手

 グレッグ ホランドGreg Holland 、カンザスシティー・ロイヤルズのクローザー
 8月9日現在の成績は、2勝1敗、31セーブ(33セーブ機会)、四球率2.5/9回、奪三振率14.3/9回
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一塁側に体が急激に倒れるように一見、見えますが、スローで見ると、体が一塁側に倒れるのはボールがリリースされてホームプレートに近づいてからであることがわかります。上体を前に倒しながら骨盤も急激に回転すると、上体はこのように急激に一塁側に倒れます。

 インステップで100マイルの球を投げる大リーグの投手

アトランタ・ブレーブスのクレイグ・キンブレルCraig Kimbrel
ニューヨーク・メッツのマット・ハービーMatt Harvey
デトロイト・タイガースのジャスティン・バーランダーJustin Verlander
クリーブランド・インディアンスのダニー・サラザールDanny Salazar

クレイグ・キンブレルの投球フォーム(上から見た動画)
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マット・ハービーの投球フォーム
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ダニー・サラザールの投球フォーム
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インステップの利点

 右投手の場合で説明します。
 インステップが利点になるには、ワインドアップで前足を高く上げた状態から、前足を素早く下ろすとともに骨盤も同時に回転させていかなければいけません。マット・ハービー、ダニー・サラザール両投手とも、前足を前に振り下ろすのがとても速く、骨盤も同時に回転させています。また投球側の腕も同時に素早くテイクバックして、コッキング(前腕を垂直に立てる)しています。また、前足を着地したとき、上体が後に傾いていません。前足を着地してから素早く上体を前傾させ、上体に働く重力の作用で肩の回転を加速させなければいけません。
 マット・ハービー、ダニー・サラザール両投手ともコッキングが素早く、両肩と右肘がほぼ一直線に並んだまま上体を素早く回転させているので、肩にかかるトルク(回転力、力のモーメント)は極力抑えられているため、100マイル近くの球をコントロール良く投げられるのでしょう。

 骨盤が速く回転すると、横に伸ばした腕の遠心力で体が3塁側に流れて、前脚と右腕の距離がますます離れて、骨盤の回転速度は緩くなってしまいます(前脚を軸とした慣性モーメントが大きくなるので)。回転を速くするには体の各部分をできる限り回転軸に近づける必要があります。そのためには上体の軸を一塁側に傾ける必要があります。

 ボールのコントロールを良くするには、頭をできるだけ動かさないようにしなければいけませんが、そのためには、前足の着地方向は軸足とホームプレートを結んだ線よりも少し3塁側にし(インステップ、クロスステップ)、前足を着地してからは頭はホームプレート方向に向けるのが理にかなっています。頭はホームプレート方向に向かい、上体の軸は一塁側に傾き、前脚を軸とした慣性モーメントが小さくなるので骨盤の回転も速くなります。その結果、右肩の水平方向の回転も速くなり、球速が出やすくなります。

 アウトステップではどうしても視線がホームプレートから遠ざかってしまうので、ボールのコントロールはインステップに比べて不利だと思います。

藤波投手が100マイルの球を投げれるようになるにはどうすれば良いのか

 藤波投手は日本のプロ野球投手の中では、体の重心の位置が前脚の上を通り、上体が3塁側に流れることもあまりなくバランスの良い投球フォームだと思います。少し修正すればすぐに大リーグの投手のように90マイル後半の球速が出そうです。

@前足を振り下ろす速度を速くする。

 マット・ハービー、ダニー・サラザール両投手に比べて非常に遅いため、骨盤の回転も非常に遅くなっています。

Aストライドを小さくする。

 ティム・リンスカムの影響か(テイクバックが似ている)ストライドが必要以上に大きくなっており、骨盤が回転せずに前に移動するだけになっています。 マット・ハービー、ダニー・サラザール両投手のように、前足と軸足が同時に地面についている時間のあるほうが楽に、またコントロール良く、球速が出ると思います。
 本人はボールのリリースポイントをできるだけ打者に近づけたくてストライドを大きくしているようですが、これはあまり効率の良い方法ではないと思います。

Aテイクバック、コッキングはもっと素早くした方が良い

 コッキング(右の前腕を垂直に立てること)のタイミングが少し遅いように感じます。そのため、腕に力を入れて振っているように見えます。両肩と右肘が素早く一直線上に来るようにして、骨盤を素早く回転させればマット・ハービー、ダニー・サラザール両投手のように、腕は意識して振らなくても済みます。
posted by BEST PITCHING at 00:23 | Comment(13) | TrackBack(0) | MLB | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする