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2013年08月11日

藤浪 晋太郎投手の投球フォームについて

 藤浪投手の投球フォームで、前足の着地がクロスステップ(インステップ)していて良くないという記事があったというコメントをいただきました。股関節が3塁に向いているのに上半身はホームプレート方向に向いているので、体を無理に捻ることになり体に良くないという内容だそうです。

阪神タイガース藤浪 晋太郎投手の投球フォーム
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 果たしてインステップは良くないのか?

 この記事は日本のヤフーニュースにあったということですが、すでに閲覧不能になっており読むことができませんでした。
 日本と大リーグでは投球フォームが大きく違うので、個々の投球フォームについて良し悪しを判断しなければ意味がありません。

 日本では骨盤を前足が着地する直前まで回転させないで(ヒップファースト)、しかも骨盤の回転自体も緩やかで、下半身はあまり回転させずに、横を向いた上半身の捻りをホームプレート方向に戻すような投球フォームの人が多いようで、このような投球フォームの人がインステップで投げれば脇腹を痛めたりするかもしれません。前足の着地寸前まで骨盤から上に回転慣性を与えていないからです。質量のある物体を回転させるには時間がかかりますので、投げ始めから骨盤は回転させたほうが投球が円滑に行なえます。

 慣性には体の重心がホームプレートに向かう直線的な慣性と、体の軸を中心に体が回転する回転慣性があります。慣性とは同じ状態を維持しようとする性質で、質量のある物体は同じ速度(大きさと向き)を維持しようとします。回転している物体も同じ回転速度を維持しようとします。抵抗がなければ永遠に回転し続けようとします。止まっている物体を回転させるにはトルク(回転力、力のモーメント)が必要で、動き始めに大きなトルクが必要です。一定の速度を維持するだけであればトルクは必要ありません。つまり、回転し始めには大きなトルクが必要なので、投球の最初から骨盤を回転し始めた方が、前足を着地した後に骨盤は楽に加速でき、投球側の肩の水平方向の回転速度も速くなるということです。

 日本の投手は直線的な慣性が主体(骨盤を回転させないで体の重心を直線的に前に移動させる)で回転慣性が不足している人が多いようです。

 一方、大リーグの投手は骨盤を最初から回転させてゆく投げ方が多く、オーバーハンドの投手でもサイドハンドの投手でも同様です。
 ストラスバーグ投手は骨盤を回転させない投げ方をしています。松坂投手も同じです。こういう投げ方は肩、肘に負担がかかってしまいます。
 

 大リーグではインステップで投げる投手もいれば、アウトステップで投げる投手(グレッグ ホランドGreg Holland )も、さらにはその間のスクエアで投げる投手(マックス シャーザーMax Scherzer)もいて、どれが良くてどれが悪いとは言い切れません。個人の好みの問題です。
 ただ、全体的に見て、100マイル近い球速でコントロールの良い投手はインステップが多いように思えます。

 アウトステップの投手

 グレッグ ホランドGreg Holland 、カンザスシティー・ロイヤルズのクローザー
 8月9日現在の成績は、2勝1敗、31セーブ(33セーブ機会)、四球率2.5/9回、奪三振率14.3/9回
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一塁側に体が急激に倒れるように一見、見えますが、スローで見ると、体が一塁側に倒れるのはボールがリリースされてホームプレートに近づいてからであることがわかります。上体を前に倒しながら骨盤も急激に回転すると、上体はこのように急激に一塁側に倒れます。

 インステップで100マイルの球を投げる大リーグの投手

アトランタ・ブレーブスのクレイグ・キンブレルCraig Kimbrel
ニューヨーク・メッツのマット・ハービーMatt Harvey
デトロイト・タイガースのジャスティン・バーランダーJustin Verlander
クリーブランド・インディアンスのダニー・サラザールDanny Salazar

クレイグ・キンブレルの投球フォーム(上から見た動画)
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マット・ハービーの投球フォーム
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ダニー・サラザールの投球フォーム
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インステップの利点

 右投手の場合で説明します。
 インステップが利点になるには、ワインドアップで前足を高く上げた状態から、前足を素早く下ろすとともに骨盤も同時に回転させていかなければいけません。マット・ハービー、ダニー・サラザール両投手とも、前足を前に振り下ろすのがとても速く、骨盤も同時に回転させています。また投球側の腕も同時に素早くテイクバックして、コッキング(前腕を垂直に立てる)しています。また、前足を着地したとき、上体が後に傾いていません。前足を着地してから素早く上体を前傾させ、上体に働く重力の作用で肩の回転を加速させなければいけません。
 マット・ハービー、ダニー・サラザール両投手ともコッキングが素早く、両肩と右肘がほぼ一直線に並んだまま上体を素早く回転させているので、肩にかかるトルク(回転力、力のモーメント)は極力抑えられているため、100マイル近くの球をコントロール良く投げられるのでしょう。

 骨盤が速く回転すると、横に伸ばした腕の遠心力で体が3塁側に流れて、前脚と右腕の距離がますます離れて、骨盤の回転速度は緩くなってしまいます(前脚を軸とした慣性モーメントが大きくなるので)。回転を速くするには体の各部分をできる限り回転軸に近づける必要があります。そのためには上体の軸を一塁側に傾ける必要があります。

 ボールのコントロールを良くするには、頭をできるだけ動かさないようにしなければいけませんが、そのためには、前足の着地方向は軸足とホームプレートを結んだ線よりも少し3塁側にし(インステップ、クロスステップ)、前足を着地してからは頭はホームプレート方向に向けるのが理にかなっています。頭はホームプレート方向に向かい、上体の軸は一塁側に傾き、前脚を軸とした慣性モーメントが小さくなるので骨盤の回転も速くなります。その結果、右肩の水平方向の回転も速くなり、球速が出やすくなります。

 アウトステップではどうしても視線がホームプレートから遠ざかってしまうので、ボールのコントロールはインステップに比べて不利だと思います。

藤波投手が100マイルの球を投げれるようになるにはどうすれば良いのか

 藤波投手は日本のプロ野球投手の中では、体の重心の位置が前脚の上を通り、上体が3塁側に流れることもあまりなくバランスの良い投球フォームだと思います。少し修正すればすぐに大リーグの投手のように90マイル後半の球速が出そうです。

@前足を振り下ろす速度を速くする。

 マット・ハービー、ダニー・サラザール両投手に比べて非常に遅いため、骨盤の回転も非常に遅くなっています。

Aストライドを小さくする。

 ティム・リンスカムの影響か(テイクバックが似ている)ストライドが必要以上に大きくなっており、骨盤が回転せずに前に移動するだけになっています。 マット・ハービー、ダニー・サラザール両投手のように、前足と軸足が同時に地面についている時間のあるほうが楽に、またコントロール良く、球速が出ると思います。
 本人はボールのリリースポイントをできるだけ打者に近づけたくてストライドを大きくしているようですが、これはあまり効率の良い方法ではないと思います。

Aテイクバック、コッキングはもっと素早くした方が良い

 コッキング(右の前腕を垂直に立てること)のタイミングが少し遅いように感じます。そのため、腕に力を入れて振っているように見えます。両肩と右肘が素早く一直線上に来るようにして、骨盤を素早く回転させればマット・ハービー、ダニー・サラザール両投手のように、腕は意識して振らなくても済みます。
posted by BEST PITCHING at 00:23 | Comment(13) | TrackBack(0) | MLB | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ピッチングの動きについて2つ質問させてもらいます
1つ目は足を振り下ろすとはどのように素早く振り下ろすのですか?
2つ目は骨盤を回転させるとはどのように回転すればいいのですか?
下半身の使い方もぜひ教えていただければ光栄です。
Posted by とおりすがりの球児 at 2013年08月11日 20:27
 ピッチングの動きについて2つ質問をいただきました。
@1つ目は足を振り下ろすとはどのように素早く振り下ろすのですか?

A2つ目は骨盤を回転させるとはどのように回転すればいいのですか?


回答:

右投手の場合で説明します。

 前脚をワインドアップで一番高く上げた状態から、前脚(左脚)の股関節を、重力を利用しながら勢い良く伸ばすことが骨盤を回転させるきっかけとなります。
 前脚はホームプレート方向に伸ばすのではなく、重力で自然に下がる力を利用して、そのまま左の股関節を伸ばす感じで十分です。
 左の股関節を伸ばすのとほぼ同時に、軸足側(右足)の股関節を外旋させます。すると、骨盤は楽に回転してゆきます。骨盤を本格的に回転させるのに必要な動作は以下のように行います。
 右脚の膝の皿がホームプレート方向側に45度ぐらい向いたら、右の曲がった股関節をおもいきり伸ばし始め、最後は右の足首の関節、爪先の指の関節も伸ばし、右脚の関節全部が完全に伸び切る前に、前側の足を着地させます。
 体が完全に空中に浮くほど、ストライドは大きくしないことが大事です。

 前脚を振り下ろすとは、左の股関節を伸ばして前脚を下におろすと同時に、右の股関節を外旋させることで、骨盤を回転させる動作のことです。
 右の股関節を外旋させると、意識しないでも前脚は骨盤の回転に伴ってホームプレート方向に動きます(振られる)。

 股関節の外旋(右側の)とは、気をつけの姿勢から右足を上げ、爪先の向きを右側に向けるときに起こる右股関節の回転のことです。右足を地面に着いたまま、右股関節の外旋を行なうと、右脚は動かないので、逆に骨盤の方が左側に回転してゆきます。投球動作のはじめにはこの右脚の股関節の外旋が、左脚を下ろす動作とともに骨盤を回転させるきっかけとなります。

 速い球を投げるときほど、この両脚の動作を速くおこないます。
 最近の大リーグで100マイル近くの球を投げる投手の前脚を振りおろす動作は非常に速いです。
 そうでない投手で、100マイル近くの球を投げる投手は肘、肩に負担がかかっているとおもいます。
Posted by sh(管理人) at 2013年08月23日 07:45
返信ありがとうございます
僕は軸足を前に倒すように投げているのですがどうすればいいのですか?
それと投げる時のグラブ側の手の使い方はどのようにしたら効果的ですか?
Posted by とおりすがりの球児 at 2013年08月24日 00:41
投げる時のグラブ側の手の使い方は抱え込むようにした方がいいのですか?
投げる時に体は思いっきり前に倒した方がいいのですか?
回答お願いします。
Posted by 球児 at 2013年08月24日 00:45
いつもためになる記事ありがとうございます。
ロイヤルズの小さな巨人ティム・コリンズについて投球分析していただけないでしょうか。
Posted by ピカチュウ at 2013年08月29日 17:51
中二の息子と一緒に勉強させて
頂いております。
ご質問ですが、カーブやスライダー
を投げる投球動作は一緒でしょうか?
また、よくカーブを投げると肘が故障し易い
と聞きますがご意見をお聞かせ下さい。
よろしくお願いします
Posted by ヒロ at 2013年09月01日 23:00
質問内容:

投げる時のグラブ側の手の使い方は抱え込むようにした方がいいのですか?
投げる時に体は思いっきり前に倒した方がいいのですか?

回答:

投げる時のグラブ側の手の使い方について:

 体の横回転、つまり骨盤の回転を効率的に行なう(右投手の場合、素早く上体を一塁方向にまで回転させる)ためには、投げる時のグラブ側の手は、前側の足を着地したら素早く抱え込んだほうが効率的には良いと思います。慣性モーメント(回転のしにくさを表す、質量が回転軸に集まるほど小さくなる)を小さくするためです。
フィギュアスケートのスピンで、広げた両手を抱え込むと、慣性モーメントが小さくなるので、回転速度が上がります。
 オーハンドスローで、骨盤の回転よりも上体を前に倒すことが主体の投げ方では、グラブの抱え込みはそれほど、骨盤の回転に影響を及ぼしません。元々、骨盤の回転速度が緩いので、グラブ側の手を抱え込んでも、骨盤の回転速度の上昇はあまり見込めません。
 しかし、骨盤の回転が主体の投げ方でも、あるいは上体を前に倒し、肩を縦に回転させる投げ方でも、前足を着地したら素早くグラブは抱え込んだ方が、グラブが頭に近くなるので、ピッチャーライナーが来た時、打球が頭部にぶつかる危険性が減るので良いと思います。
 
 投げる時に体は思いっきり前に倒した方がいいかについて:

 前足を着地したら、重力および腹筋を使って体を素早く前に倒した方が球速は上がります。速い球を投げる人はみんなそうしていると思います。前に体を倒す角度は投手によって個人差が出てきます。タイガースのマックス・シャーザーは大きく、ブレーブスのクレイグ・キンブレルも大きく、上原投手、黒田投手は小さいほうです。レッズのアロルディス・チャップマンは中ぐらいです。
 上原投手は上体を前に倒す角度が小さいせいか、頭が大きく動かないのでコントロールが良いように思えます。黒田投手もそうです。スピードを優先させるか、コントロールを優先させるかによって、上体を前に倒す角度を選んだら良いと思います。
 しかし、上体を倒す角度が小さめの人は上原投手、黒田投手のように投げ終わった後、上体が一塁に向くぐらい、骨盤の回転を速くしないと、肩、肘に負荷がかかると思います。それは、肩が前にいかに速く移動するかで球速が決まってくるためで、肩が前にいかに速く移動する速度が緩いと、その分、腕の振りを速くする必要があるからです。
 肩は直線的に動くと、その速度は上がりません。時速20キロも出ないでしょう。しかし、上体を前に倒すあるいは骨盤を回転させると、その速度は上体が直線的に前に移動する(肩も直線的な動きになる)時よりもはるかに速くなり、肩は円軌道を描くので、腕には力を入れなくても、腕は回転ブランコのブランコのように自然と回転してゆくはずです。
 
 
Posted by sh(管理人) at 2013年09月04日 20:15
質問内容:
カーブやスライダーを投げる投球動作は一緒でしょうか?

また、よくカーブを投げると肘が故障し易いようですが?。


回答:
 変化球も直球を投げるときの投球動作が基本だと思います。変化球についてはまだ深く分析していないので、はっきりしたことはいえませんが、直球と変化球での投球フォームは打者から見て同じに見えないと意味がありません。下半身から肘までの動作は直球と変化球とで同じでないといけないでしょう。
 肘から先の使い方は投手によってかなり違っているのではないかと思います。スライダーでは手首を捻るか、指でボールの外側を押すかといった違いが投手によって出てくると思います。スライダー、カーブいずれにおいても、骨盤を良く回転させて体全体でボールに回転をかけた方が制球、ボールの回転とも良いのではないかと思います。

 アメリカでは年少の子供には変化球を投げさせないようにしています。14歳未満では変化球は禁止。カーブは14歳以上で許可。スライダーは16歳以上で許可しているそうです。14歳未満では直球とチェンジアップだけ投げさせているようです。
 少年では骨がまだ成長途中で、骨の端には成長板があり、そこは軟骨でできておりまだ完全な骨になっていないので強度的に弱い所です。変化球を投げると成長板に無理な力がかかり、壊れやすくなります。球数制限の基準もあるようです。
 大人になると最長板も骨へと変化して強度が増すので、骨よりも靭帯(肘の内側)に故障が発生しやすくなります。
 少年では11歳ぐらいで肘の怪我が最も多いようです。肩の怪我は14歳ぐらいにピークがあるそうです。
 骨は24歳ぐらいまで成長段階にあるそうで、その年齢までは珠数、投球イニング数に注意を払う必要がありそうです。大リーグでも新人投手は先発投手ではシーズン170イニングまでという制限をしているようです。
Posted by sh(管理人) at 2013年09月07日 00:21
ご回答ありがとうございます。
中二の息子の動画をアップしました。
骨盤の回転がうまくされていますか?
その他アドバイスをお願いいたします。


https://www.youtube.com/watch?v=KdSPBep4zV8&feature=c4-overview&list=UUsgoWk9WjfN96f-kvTfm7-w

https://www.youtube.com/watch?v=wL_gYzE534s&feature=c4-overview&list=UUsgoWk9WjfN96f-kvTfm7-w
Posted by ヒロ at 2013年09月15日 15:13
藤波投手が秋のキャンプで、インステップを直すというような記事を見ました。

シュート回転を直すようなことも言ってましたが、直す必要があると思われますか?

また、メジャー流の投げ方だと、横回転が強くなってシュート回転しやすくなると思いますが、いかが思われますか?

私自身も、メジャー流の投げ方を試していますが、やはりシュート回転してしまいます。

シュートを計算に入れてなげればいいのか、あるいわ肘の位置などのせいで、シュート回転してしまうのか?

解説できたらお願いいたします。
Posted by 平出 at 2013年11月14日 10:46
ヒロさんの中学生の息子さんの投球フォームについてのアドバイス


https://www.youtube.com/watch?v=KdSPBep4zV8&feature=c4-overview&list=UUsgoWk9WjfN96f-kvTfm7-w

https://www.youtube.com/watch?v=wL_gYzE534s&feature=c4-overview&list=UUsgoWk9WjfN96f-kvTfm7-w


 投球フォームのビデオを多くのせられていますね。いろいろ拝見しました。投球フォームが年齢とともに大きく変化していますね。
 松坂投手のような投球フォームが一番最近の物でしょうか。
 松坂投手のように、前足を着地したとき、上体が後傾しています。上体が前かがみすぎで、上体を垂直に起こすのが遅く、骨盤はスムースに回転していません。

 藤浪投手のような投球フォームも見受けられました。 藤浪投手のように、前脚側の膝をワインドアップからすぐに伸ばしているので、足の位置が体から離れて慣性モーメント(回転のしにくさを表し、質点の回転軸からの距離の2乗に比例する)が大きくなっているので、骨盤の回転は素早く行なえていません。

 右投手の場合について説明します。

 投球で大事なのは投球側の肩がスムースに前に出て、スムースに加速して流れるようなフォームになっていることです。肩は直線的にホームプレート方向に動くとその速度は上がりません。弧を描いて行くとその速度は速くなり(回転半径に比例)、投球側の腕は意識しないでも前に回転してゆきます。
 
 骨盤の回転を楽に行なうには骨盤の傾きに気を使う必要があります。

 ワインドアップして前脚を一番高く上げたとき、前脚側の股関節が軸足の股関節よりも高くなり、なおかつ骨盤がお腹側に傾いていると、前脚にかかる重力による軸足の軸を中心とした力のモーメントにより、骨盤が2塁方向側に回転しようとします。

 骨盤の傾きは、ホームプレート方向に前傾し、背中側に傾いているほど骨盤の回転は楽に行なえます。したがって、爪先側に最初から荷重中心があると良くありません。どちらかというと、やや踵側に荷重中心がある方が骨盤の回転は楽に行なえます。
 したがって、ワインドアップ後、前脚はすぐにホームプレート方向、かつ地面に向けて下ろし、前かがみになった上体もすぐに垂直に起こす必要があります。
 軸足を蹴ると骨盤はホームプレート方向に移動しますが、それより上の部分は慣性によりその場に留まろうとするので、上体の2塁方向への後傾が大きすぎると、前脚を前に振り下ろしても上体の後傾はさらに大きくなり、前足を着地したときも上体は後傾した状態になり、肩、肘に負担がかかります。
 したがって、最初から、骨盤の傾きが2塁側に後傾しないように意識する必要があります。左肩が右肩と同じかそれよりも下がっているようにする必要があります。
 上体も前かがみになりすぎないようにする必要があります。背中を前かがみにするときは背中を丸くすると骨盤の傾きが背中側に後傾しやすく、軸足の荷重点も踵よりになるので理想的です。
 腕の水平線からの角度を大きくしたいときは、上体の前かがみの程度はチャップマン投手のように少し大きくします(クレイグ・キンブレル投手はサイドハンドに近く、上体はあまり前かがみになっていない)。上体は前かがみの状態から背中を反らすようにして腕の角度を大きくするためです。腕の角度は水平線から45度ぐらいまでにした方が肩の故障はしにくくなると思います。腕の角度と上体の軸がなす角度は90度より大きくすると、肩の腱板と骨、肩峰下滑液包(摩擦防止の組織で、クッションの役割をする)、がぶつかりインピンジメント症候群を起こし、肩の炎症を引き起こす確率は高くなるようです。


 お勧めの投球練習の方法について

 セットポジションから投げる練習をした方がよいでしょう。ワインドアップにしても正面を向いてから行なうのは制球面からも、また上体が2塁側に後傾するのでお勧めしません。セットポジションに近い、クレイグ・キンブレル、アロルディス・チャップマンのようなポジションがお勧めです。 軸足をバネのように使えるので、投球動作が速く、球速も上がります。最初は常にセットポジションから投球したほうがよいかもしれません。

 背中を垂直にしたセットポジションから、背中を丸めながらを前脚側の膝を軸足側の膝の前上方に引き寄せ、また元のセットポジションの足の位置に素早く戻す動作を繰り返します。
 この際、上体が2塁側に傾かず、前側の肩が投球側の肩よりもわずかに下がって、上体がホームプレート方向に前傾するようにします。
 すると、軸足の股関節は内旋筋、外旋筋とも緊張してバネのようになり、前脚が勢い良く元に戻るはずです。前脚の膝を上げる高さはだんだん高くしてゆき、最後は胸にぶつかるぐらいにします。ノーラン・ライアン、アロルディス・チャップマンが良いお手本です。

 @最初は、軸足を地面から離さないで行い、軸足、前足とも爪先の向きは投球プレートと平行にします。両足の距離は肩幅と同じ程度。

 A次は、前脚の膝を軸足側の膝の前上方に引き寄せた後、前脚がセットポジションの最初の位置に戻り始めたらすぐに軸足の踵を浮かせ、軸足の拇指球を荷重中心かつピボット中心(回転中心)にして、骨盤(体全体)を回転させ、前足が着地したときに、軸足側の膝の向きがホームプレート方向に45度ぐらい回転しているように、膝を内側に捻るように(内旋筋が緊張する)します。骨盤の向きと軸足側の膝の向きがなす角度が変わらないようにします。つまり、骨盤の回転速度に、膝の向きが遅れないように、いっしょに回転するようにします。

 それから、ストライドの大きさを少しづつ大きくしてゆきます。投球側の肩の動きに注目すると、球種のカーブボールのように弧を描いていれば、成功です。

 次は投球側の腕を少し意識して、行なってみてください。右肘は上原投手のように軽く直角に曲げ、軽く小さく円を描くようにするだけで、腕は勝手に前に振り出されるはずです。
 投球側の腕の角度は右肩の描くカーブの向きで決まります。肩の加速が十分速ければ、重力の影響は無視できるようになり、右肩の描くカーブを含む平面内を腕は移動します。
 右肩をいかにスムースに速く加速するかで球速は決まってきます。急激な加速は肩、肘に負担がかかりますので、一定の加速度で加速してゆき、フォロースルーも大きく取って急激に右肩が止まらないようにします。


 ストライドの大きさについて

 ストライドが大きくなると、肩の描くカーブの回転半径が小さくなり、直線的になりやすいので気をつける必要があります。直線的になると、腕は肩関節の筋肉、あるいは肩甲骨を動かす筋肉を使って動かさないと勝手に振り出されなくなりますので、肩、肘を故障しやすくなります。両足が地面から離れるほど大きくする(アロルディス・チャップマン、ティム・リンスカムのように)のはお勧めしません。二人とも制球が良くありません。ストライドの大きさは必ずしも球速に比例しません。両足が地面に接している時間がある程度あったほうが効率的だと思います。クレイグ・キンブレルや上原投手のように腕の角度が低い投げ方では、特にそうです。
 
Posted by sh(管理人) at 2013年11月23日 13:25
丁寧なアドバイスありがとうございました。
早速練習方法を取り入れてみます。
また成果をアップしたいと思いますのでその時は宜しくお願いいたします。
Posted by ヒロ at 2013年11月26日 21:52
質問内容:

藤波投手が秋のキャンプで、インステップを直すというような記事を見ました。

シュート回転を直すようなことも言ってましたが、直す必要があると思われますか?

また、メジャー流の投げ方だと、横回転が強くなってシュート回転しやすくなると思いますが、いかが思われますか?

私自身も、メジャー流の投げ方を試していますが、やはりシュート回転してしまいます。

シュートを計算に入れてなげればいいのか、あるいわ肘の位置などのせいで、シュート回転してしまうのか?

回答:
2013年度の大リーグの右投手の平均のフォーシームの横方向変化はマイナス5.95インチ、15センチですから、結構シュート回転していると言えます。
 シュート回転は腕の角度が水平に近いほど、ボールの回転数が高いほど大きくなります。また手首を小指側から親指側に向けて起こしていると横回転は小さくなり、その分縦回転が大きくなります。
 腕の角度が大きいほど(地面に垂直に近づくほど)縦方向の回転が大きくなりバックスピンがかかりホップするようなボールになります。
 上原投手は水平方向の変化が5.28インチで、平均よりも少し小さいけれど、縦方向の変化は11.63インチ、大リーグの平均は8.75インチですから2.88インチ(7.3センチ)だけ、つまりちょうどボール1個分(直径約7.3cm〜7.5cm)普通の投手に比べてホップするように打者は感じてしまいます。
 ダルビッシュ投手は横方向変化がマイナス2.96インチ、縦方向変化が10.15インチで横方向の変化は小さめです。
 横方向変化の小さな投手は2013年度に2度目のサイヤング賞を受賞したドジャースのクレイトン・カーショーで、横方向変化はわずか0.95インチ、カーショーは左投手ですので、右投手とは逆に一塁側に変化します。縦方向の変化は12.13インチと大きくなっています。
 サイドハンドに近い左腕投手であるクリス・セイル投手は横方向の変化は7.27インチと大きいですが、縦方向変化は6.32インチと小さめです。
 大リーグ流の投球後半に一塁側を向く(右投手の場合)ような投げ方だと、ボールのリリースポイントが前足の着地点よりもずっと前になるのでボールに回転が多くかかりやすいように思います。また、遠心力により肘が早めに伸びるスリークォーター気味(それよりももっと水平に近い投手が多い)の投手が多いのも大リーグではシュート回転の大きい投手が多い理由だと思います。
 
 藤浪投手はインステップを直す必要があるかどうかについて:

 シュート回転するかどうかは問題ではなく、今の投げ方では下半身は回転せず、上半身の回転が先行して左の脇腹辺りに無理な捻りがかかっているのが問題だと思います。松坂投手も同様に下半身(骨盤)の回転が遅く左脇腹を痛めやすい投球フォームです。
 今のままの投球フォームならインステップは小さくした方が良いと言えます。
 
 しかし、インステップに適した投球フォームに直すのは難しいことではありません。
 歩きながら左に少し向きを変えるときどういう体の使い方をしますか。
 上体を左側に少し傾けながら左側に左足を踏み出しているはずです。そして、右脚は左側に捻りながら(右股関節の内旋、スキーのウェーデルンと同様)行なっているはずです。みんな無意識にそうしているはずです。
 これと同じようにすれば簡単に投球フォームは修正できますので、どちらが良いかどうかはなんとも言えません。

 藤浪投手の現在の投球フォームがインステップに向いていない具体的なポイントを上げてみましょう。

 @上体が前かがみのままである

 これはダルビッシュ投手も同様だと思います。
 前かがみのままだと骨盤の軸も体の正面に傾いてしまうので、骨盤は重力の力を利用して回転させることができません。

 Aワインドアップで前足を一番高く上げたときに、捕手から見てお尻がよく見えるように骨盤を回転させていない(右の股関節の内旋が不十分)。

 その結果、右の股関節を外旋させて骨盤を回転させることができていない。

 右股関節の捻りとは右股関節を外旋させて骨盤を回転させ始めたらすぐに右股関節を内旋させて骨盤の回転に遅れないように右脚全体をホームプレート方向に回転させることです。両股関節を結ぶ線と右股関節と右膝の皿を結ぶ線のなす角度を約45度ぐらいに保ちつつ、右股関節を伸ばしながら上体を垂直から、さらに背中側に反らす(腕の角度を大きくするほど反らす)ようにします。

 Bストライドが大きすぎる

 ストライドが大きすぎて両足が同時に地面を離れています。
 ストライドが大きいと前足を着地したとき、右脚は大きく後に残るので左脚を軸としたときの慣性モーメント(回転のしにくさを表す、軸からの距離の2乗に比例)がとても大きくなるので、骨盤は回転しにくくなります。骨盤の回転を速くするにはストライドは小さい方が有利と言えます。また、上体を前に大きく倒すほど、慣性モーメントは大きくなるのでこれまた骨盤の回転には不利です。
 したがって、ストライドを大きくすれば球速が上がるわけではありません。
 
Posted by sh(管理人) at 2013年11月30日 22:21
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